beattie’s blog

隠遁のーさつにっき庵

絶叫婆を理解する

手術前にはおよそ考えられるありとあらゆる状況について説明を受けて
サインをする。手術にかかわる部分はもちろん、それに伴う麻酔に関する
注意や術後のケアで発生しうるなにがしとか担当者が変わったり重複したり
しながら説明があり、それが確認できるように説明後署名をする。
まあ、騒ぐ奴はそんなのお構いなしに騒ぐんだけどな。
ただ、署名する気分的には八方ふさがりでサラ金にお金を借りに行って
契約書にサインさせられる感じ。だって術後動けないので血栓ができて
それが肺や心臓に送られて大変なことになる可能性がありますよって
言われたって、じゃあ手術やめるかってわけにはいかないわけで。
その怖いことがいっぱい書いてある承諾書には書いてなかったんだけど、
長期入院にともない情緒不安定に陥ることがありますっての付け足した方が
いいんじゃね?って今朝思いました。

今まで、自分の話が長いという点以外は別に問題のない向かいの婆さんが
今朝突然看護師に「もうだめ。もう死ぬ」と言いだしたのですよ。
看護師も俺もびっくりですわ。すぐになだめられておとなしくなったけど、
その後今度はスマップ解散についてみんなが騒いでいるのが理解できない、
なにあれ、なんでそんなに騒いでんのよ!と声を荒げはじめ俺は全身が
固くなりました。そんな事この2週間なかったし、明らかにおかしい感じが
した。看護師は平静を保って刺激しないように相手をしていて、
プロだなーとまた感心したわけだが、一通り主張して婆さんはおとなしくなった。

人の感情には波があるからたまにはそういうこともあるんだろうけど、
このまま婆さんの不安が解消されないまま入院が長引いたら結構精神的に
くるんじゃないだろうか。って、ここまで書いてああ!くる、くるわ!って
気が付いた。同じフロアに絶叫婆がいる。そうか、あれは単なるわがまま
じゃなくてそれだったのか。うるせー婆だなあ、何騒いでんだって俺はいつも
思ってたんだ。でも看護師たちと掃除のおばちゃんは「あの人可哀想なのよ。
気の毒ねぇ」って言ってたから、この人たちどんだけ神なんだってひどく
驚いたんだけど、情緒不安定になるのもわかるわ。確かにかわいそうだな。

誰もがみんな強い精神力を持っているわけではない。弱い人もいる。
その弱いところをケアしてあげる優しさが必要だな。んで、優しさというのは
つまり強さだ。

入院して俺、ちょっと大人になったよ。優しくなったかどうかはわからんが。